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ハンドパン?ハングドラム?その呼称と歴史(再掲載)

しばしば

 

 

ハングドラム(Hang Drum)とハンドパンって何が違うの?”

 

とか

 

”そのハングドラムはどこで買ったの?レプリカ?”

 

 

 

などと聞かれる事があります。

 

 

 

呼称について最初に​答えを言うと、2010年前後までは大体ハングドラムと呼んでいた楽器を、今では一般的にハンドパンと呼んでいます。

 

 

それは何故なのか?

 

 

この記事では、日本語の解説が少ない”ハング”の歴史を解説しながら

ハンドパン、ハングドラムなどの呼称にフォーカスをあてます。

 

 

 

 

​​​①【PANArt社の発明】

 

 1999年、スイス、ベルンのスチールパンメーカーPANArt社が自社の合金Pangとインドの打楽器ガタムを掛け合わせたところ、予想以上にまったく新しい楽器が誕生しました。

   

 

 

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インドのガタム



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トリニダードトバゴスティールパン

    

 

ガタム + スティールパン =

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

 

 

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最初の試作品【Ghatpan】

 


=      最初の試作品【Ghatpan】​​ 

 

これはなんとも新しいアイディアでした。

 

 

 

さらにPANArtはその後も改良を重ね、ついに2001年、最初のHANG®を世界に発表します。

 

Ghatpanからの主な改良点は、表の中心にdingと呼ばれる低音のトーンフィールドを配置し、裏側にguと呼ばれる穴を配置したところです。

 

今のハンドパンとほぼ同様の形であり、これをもって世の中的には「ハングは2001年にスイスで開発された」と説明されたりします。

(自分は、あえて”大体2000年頃に作られた”という言い方をしていますが)。​ 

 

 

 

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こうして、世間で知られるところのハング、ハングドラムが誕生しました。

 

しかしその製法も素材も謎に包まれており、まさに神秘の楽器として扱われていました。

さらには数万のオーダーに対して、作るのは月に数台・・という生産ペース。

 

手に入れるには「熱烈な手紙を送り続ける」「直接スイスで懇願する」などのうわさ(ちなみに事実)も広まり、入手の困難さも一部で話題となりました。

 

 

 

 

 

 ②【PANArtを追うメーカーの誕生】​ 

 

 

そんな中、転機が訪れます。

 

 

 

 

2006年、PANArt社のドキュメンタリー番組がテレビ放送されると

PANArt社に直接ハングの製法を学ぶ、あるいは独自に研究を重ねるなど、世界各地でそれぞれHangを模倣した楽器を作るメーカーが出てくるようになりました。 

 

 

 

さらに2007年、08年、09年あたりになってくると、BELLs、Pantheon、spacedrum、caisaを始め、多くのメーカーが世界中で立ち上がるようになりました。

 

 

 

hangのプレイヤー自身がそう呼んでいた事もあり、世間ではこれらの楽器を纏めて【ハングドラム】と呼ぶようになっていきます。

 

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ガタムと、各世代のHang®

 

 

 

③【ハングドラム?ハンドパン?呼び方について】

 

 そうしてこの新しい楽器が広まるようになると、その名称についてはしばしばネットなどで議論になるようになりました。

wikipediaに纏めたものを以下、抜粋します。
 

 

 

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<<<<批評家の間で名称についての議論が積み重ねられてきた一方で、愛好家たちはこの新しい楽器の一群を指す一般的な名称が必要であると感じ続けていた。

ハングドラム、パンタム、パンドラムなどそれぞれ様々な呼ばれ方がされる中で、英語圏でハンドパンという名称が『手で演奏するスチールパン』と言う意味合いとして直観的に理解され、人々から支持され慣習表現として用いられるようになってきた経緯がある。
楽器学の分類的に見れば『Hangは最初のhandpan』と言い替えることができる。

しかしその一方で、PANArtのFelix RohnerとSabina Schärerはインタビューで以下のように発言している。

"To state it clearly and precisely: we do not make percussion instruments, handpans or hang drums."、"The Hang is sometimes referred to as a hangdrum, but the inventors consider this a misnomer and strongly discourage its use"

 

すなわち、hangはhangであり、パーカッションではない。ハンドパンやハングドラムとも呼んで欲しくはない、という主張である。ちなみにPANArtはHangの名称に商標を取得している。>>>>
 

 

 

 

ーー​ーーーーー以上、抜粋ーーーーーーー

 

 

 

 このようにPANArt社が名称の使い方や権利にこともあり

(個人のFACEBOOKに”○○hangと名乗るな”と注意したこともあります)

 

 英語圏では現在、

ハングはハング(ハングドラムとは呼ばない)、

それ以外のメーカーや楽器群全体の総称として”ハンドパン”と呼ぶことが殆どです。

 

 

 ちなみに英語圏に限らなければ、Pamtamやsteeldrumといった呼び方もしばしば見受けられます。

 

 

 一方の日本では、こうした新しい経緯が浸透して来なかった為にハンドパン全体を未だに【ハングドラム】と呼ぶ場合もあり、

しかし少しずつハンドパンと呼ばれ始めている、という状況です。
 

 

 

 


 ちなみに2013年以降、オリジナルのメーカーPanArtはHangを制作していません。

 

Gubal®を始めとして、その他のメーカーとは違う方向への楽器作りへと転換しています。

​(たぶんGubalの事も”楽器呼ばわりするな”という感覚だとは思いますが)

       

 

 

 

 

④【”ハンドパン”の進化】

 

 2000年ごろに開発され、実質的には2000年代後半から広まり始めた新しい楽器のハンドパンは、今も様々な方向へ進化している最中です。

 

 単にオリジナルのHangを模倣するのではなく、様々な方向性へと拡張し、毎日のように新しいアイディアがハンドパン界隈をにぎわせています。

 

 もちろんすべてが上手くいくわけではなく、例えば最高レベルのレイテンシーを実現する電子ハンドパンを謳った

”OVAL”は、そのプロトタイプほどの高いクオリティを実現することなく会社が破産してしまいました。

 

 

以下、いくつかの写真を紹介して、この記事を終わります。

 

 

 

 

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問題が多く、最終的には会社が破産した電子ハンドパン”Oval”

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従来より音を多く配置した”ミュータント”タイプのハンドパン

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単音のみのミニミニハンドパン

 

 

 

 

他にも数多くのアイディアがネット上に溢れています。

是非いちど、ご自分の目で色々と探してみてください。

 

 

 

 最後までご覧いただきありがとうございました!

 

 

 

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 OSAMU(森田収)